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深い夜に
空白、の時期があった。
今でもそれが埋められたわけではない。とにかくその時期よりは歩ける元気を取り戻し、なんとか過ごしているという現状である。
昔、受けた大きな傷跡は、癒えることなく今でも残っていて、時々こうして心を蝕んで、ぽっかり穴を空けていく。
私は恐らく、誰のことも信用しきれていないのだ。
誰よりも自分のことが一番、信じられていないのだから。
誰よりも人を愛している自信があるのに、信じることができないというのは、本当に悲しいことだ。
それも、やはり自分のことが愛してあげられないから。
でもそれを、私はあえて生きる意味に変換した。その欠けたパーツを、拾い集めるために生きていこう、と。
そしていつか、この穴を埋めてくれるものに出会えるまで、この足がまだ動いていてくれるならば、私はこの先も歩き続けよう。
何物も、私の時間を終わらせる理由にはならないのである。
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