黒い影

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外は雨が上がって湿度が高い、 すこしじんわりとした空気だった。 雫がすこし葉についてキラキラしている。 「綺麗だなぁ」 私はポツリと呟いていた。 誰もいないと口に出せるのになぁ。 屋根が付いている下の花壇は濡れていなくて、花がしおれていた。 ここまで管理人さん手が行き届いてないのかな…? 私は近くにおいてあるジョウロを手に持ち水をくみにいった。 今は掃除の時間。 私は掃除が当番は今日ではないので、じっくりと花にみずを与えていた。 「綺麗に咲いてね?」 花に話しかけられるのに、 なんでひとは話しかけられないんだろう…。 そう思っていた矢先に、 「あっ、ひなちゃん♪」 下の名前で呼ばれたのなんて、 中1以来だったのでビックリして反射的に振り向いた。 「…。」 水川くんだった。 私はすこしお辞儀をして、 また花の方を向き座った。 水川くんは私の隣に座ってきた。 私は水川くんを睨むように見た。 「妃那ちゃん、なんでそんな可愛い声なのに人と話さないの?」 花に話しかけてるとこ見られてたの?! 恥ずかしい…。 話さないんじゃなくて 話せないんですよ。 「俺ペラペラ話しちゃうからこのお口分けてあげたいくらい~。」 と言ってまたニコッと笑った。 「お花綺麗だねぇ~」 花が好きな私はコクリと頷いた。 「妃那ちゃん7月10日生まれだよねー?ってことは睡蓮かな?」 誕生花知ってるの?! 私はビックリして目を丸くした。 「俺の家花屋やってるからなんか覚えちゃったんだ~!まぁ、潰れそうだけどな。はは」 そうなんだ。 花屋なんだ~ 羨ましいな。
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