3人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
名前、誕生日、血液型…と
たんたんと書いていく。
趣味かぁ~読書かな。
特技…ピアノかな…?
将来は…保育士。
私は思ったままに紙に書いていく。
でも将来の夢が保育士なんて笑われちゃうから…
やめよっと。
私は保育士という文字を
二重線にして消した。
自分の番が近づくたびに
心臓の音ははやまるばかり。
「じゃ次、姫川~。」
「…。」
ドクン…
ドクン…
立ち上がるが手が震えて紙が揺れ見えにくく、ただただ時間が経つだけ。
周りも黙ってはいられない。
「はやくしろよ~。」
「黙ってんじゃねーよ。」
と小声で聞こえる。
分かってる…
わかってるのに…
言葉がつまる。
「んじゃ、はいっ!俺が代理して読みまーすっ!」
と言って後ろの男の子が紙を奪い取り、読み始めた。
男の子はニコッとまた笑った。
「姫川妃那です。おっ、可愛い名前♪えっとー趣味は読書?で、いや、ぽいねぇ~。特技はピアノです。ピアノかぁ~すげぇなぁ。
えっと将来の夢は…」
一言多すぎるっ!
将来の夢消してあるじゃん!
言わないで!泣
「保母さん?ん?あっ、保育士さんになりたいです!終わりっ!」
案の定、ヒソヒソ聞こえる。
「しゃべんないのに保育士とか。」
「暗いのは子供に逃げられちゃうよな。」
とか聞こえる。
だから言って欲しくなかったのに!
私は黙って男の子の持っている紙を奪い取り静かに座った。
「ゴホンっ…じゃあ俺の自己紹介いっきまーす!
えっと名前は水川海斗です!
趣味特技と野球です~野球バカです!将来は野球の選手になることです!でも一生女の子と遊ぶ券があったら欲しいです!あと彼女募集中です!よろしくね~!」
水川くんって…
私が学年代表で話すやつ話せないから、代わってくれた人?
最初のコメントを投稿しよう!