黒い影

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名前、誕生日、血液型…と たんたんと書いていく。 趣味かぁ~読書かな。 特技…ピアノかな…? 将来は…保育士。 私は思ったままに紙に書いていく。 でも将来の夢が保育士なんて笑われちゃうから… やめよっと。 私は保育士という文字を 二重線にして消した。 自分の番が近づくたびに 心臓の音ははやまるばかり。 「じゃ次、姫川~。」 「…。」 ドクン… ドクン… 立ち上がるが手が震えて紙が揺れ見えにくく、ただただ時間が経つだけ。 周りも黙ってはいられない。 「はやくしろよ~。」 「黙ってんじゃねーよ。」 と小声で聞こえる。 分かってる… わかってるのに… 言葉がつまる。 「んじゃ、はいっ!俺が代理して読みまーすっ!」 と言って後ろの男の子が紙を奪い取り、読み始めた。 男の子はニコッとまた笑った。 「姫川妃那です。おっ、可愛い名前♪えっとー趣味は読書?で、いや、ぽいねぇ~。特技はピアノです。ピアノかぁ~すげぇなぁ。 えっと将来の夢は…」 一言多すぎるっ! 将来の夢消してあるじゃん! 言わないで!泣 「保母さん?ん?あっ、保育士さんになりたいです!終わりっ!」 案の定、ヒソヒソ聞こえる。 「しゃべんないのに保育士とか。」 「暗いのは子供に逃げられちゃうよな。」 とか聞こえる。 だから言って欲しくなかったのに! 私は黙って男の子の持っている紙を奪い取り静かに座った。 「ゴホンっ…じゃあ俺の自己紹介いっきまーす! えっと名前は水川海斗です! 趣味特技と野球です~野球バカです!将来は野球の選手になることです!でも一生女の子と遊ぶ券があったら欲しいです!あと彼女募集中です!よろしくね~!」 水川くんって… 私が学年代表で話すやつ話せないから、代わってくれた人?
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