ProLogue

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時計の針が日付を超えた辺りを指す。 窓の外は闇が支配しており、山奥とまではいかないが星が散りばめられている空。 そんな外とは反対に部屋の中は煌々と明かりが灯っており、パソコンのキーボードを叩く音が響く。 「……ふぅ」 部屋が無音に包まれたと同時に作業をしていた人物が息をついた。 キーボードから手を離し、そのまま両腕を上に伸ばして首を回すとコキコキッと乾いた音が鳴る。 ゆっくり腕を下ろし再び小さく息をついたその人物は、机の傍らにあったコップに手を伸ばし口元に運ぶ。 が、直ぐに中身が空である事に気付き眉間に皺を寄せた。 「致し方ない」 誰に言うでもなく呟くと面倒臭そうに椅子から腰を上げ、空になったコップを持って部屋から出た。 スリッパの独特な音が部屋から遠ざかり、何処か別の部屋らしき所から物音が聞こえ出す。 その音が止む頃、誰も居なくなった部屋に一つの機械音が響いた。 パソコンのディスプレイの端には、小さいウィンドウが表示されている。 それは人物が部屋から出るまではなかったもので。 『一件の未読メールがあります』 ウィンドウに表示されていたのは短い一文だった。
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