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「……ククククッ」
唐突に、沈黙は破られた。
身動きせず膠着状態にあった人物の笑いによって。
小刻みに肩が揺れ出す。
喉奥で笑いを堪えているのか、今のように静かにしていないと耳に入らない程に低く小さい笑い声。
その人物を知る者はこういう風に笑う事を予想しないだろう。
それくらい、この人物から発せられている声は低かった。
「あと少し…あと少しで、私の願いは叶う」
口角を愉しそうに歪め上げて背凭れに身体を預け、小さく呟いた後に喉を仰け反らせて高らかに笑い声を上げた。
その表情は実に愉しそうで、天井を向いた瞳は紅く血走っている。
夜も深く、下手をすれば近所迷惑になる程の声量だが、気にしていない様子で笑い続ける。
暫し笑い続けたその人物は、カップに広がった闇で喉を潤すと一息ついた。
だが興奮は醒めていないようで、恍惚とした表情を浮かべながら机に肘をつき顎を乗せる。
視線は天井からディスプレイに戻っており、先程開いたウィンドウ内に広がった文面を捉えていた。
「犯した罪は、それ相応の罰で粛清されるべきだ」
顎を乗せている手の指先で髪を弄る人物の顔から先程までの恍惚とした表情は何時の間にか消え、憎悪に満ち溢れたように変わっていた。
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