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「パパもママも僕の親で、ユーリとは何も関係ないんだし。わかったような顔して、余計な口出ししないでくれる?そういうの、ほんとに迷惑だから」
こんなふうにあしらわれ。
当然、彼は怒ると思った。
だけど、ユーリは静かに眼をそらしただけで。
「ごめん」
小さな声で謝ると。
彼はうつむき、テーブルに本を広げる。
それきり、僕たちのほうを見ようとはしなかった。
「あのさ、真白。知ってた?アイツ、マリニンさんの本当の息子じゃないんだって」
その時、耳元で。
大地がささやいた。
「えっ?」
ユーリを気にしながら。
僕は聞き返す。
「うん。何だか、わけありみたいでさ。実際の親はロシアがどこか知らないけど、海外にいるらしいよ」
「どうして知ってるの?」
「うわさで聞いたんだけど。けっこう有名らしい」
僕はがく然とする。
「知らなかった」
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