169人が本棚に入れています
本棚に追加
「気にしなきゃいい。ユーリが悪いんだよ。勝手に、あたしたちの話に割りこんできたんだから。それこそ、関係なかったのに」
エレナの意見は、いつも単純明快だ。
白か黒のどちらかで。中間はない。
「それより、今度の土曜日。練習が終わったら家においでよ。一緒に試験勉強しよう。なかなかひとりじゃはかどらなくて」
気を取り直したように。
大地が僕を誘ってきて。
「エレナも一緒に。良かったら遊びに来て」
となりで、熱心に。
花音ちゃんもうなずいた。
「いいよ。行く」
今度はすぐにOKできた。
ライブハウスはダメでも。
大地の家なら、反対はされないから。
「うれしい」
はしゃいだように、花音ちゃんは笑って。
そこから、話題も変わり。
誰と誰がつきあってるとか。
スケートクラブ内の、うわさ話へと移っていき…
あいづちを打ちながら。
僕はさっきの話を忘れようとしていた。
さびしげなユーリの眼差しを頭の中から追い出そうとしてた。
だけど、どうしても。
できなくて。
最初のコメントを投稿しよう!