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その後の試合には出れず、そのままチームは負けた。
ケガ自体は軽かったものの、それでもしばらく練習も試合もできなくなってしまった。
唯一できるのは、痛めた足をかばいながらのシュート練習くらい。
誰もいない時間にこっそりと体育館でシュート練習をひたすら繰り返していた。
でも、なぜだか、前まであれだけ入ってたはずのシュートが入らない。
珠「全然入らないよ…どうして?」
誰もいない体育館でポツリと涙がこぼれた。
ガラッ
?「あれ…先客いるじゃん。」
そんな時、体育館にバスケットボールを持った男の子が入ってきた。
そう、それが拓也先輩だった。
拓「誰もいないと思ったんだけどなー…。あれ?どした?」
私はあわてて涙を拭った。
珠「な、なんでもないです…」
拓「ん?確か…松永だよな?」
珠「えっ?あ、はい…」
拓「おーっ!女バスのエースじゃん。自主錬もしてるなんて、さすがだね。」
珠「エース…なんかじゃないです。」
拓「えっ?」
珠「こんな足じゃ、コート走れないし、シュートも入らないし…。」
拓「…なるほどね。」
拓也先輩は私の足のテーピングを見て、状況を理解したようだった。
ダム、ダム、ダム…
拓「…んまぁ、お前がエースかどうかなんて、お前が決めることじゃねーしな。」
シュッ!
そう言いながら、拓也先輩が放ったボールは、ネットに触れることなく、リングを通っていった。
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