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外へ飛び出すと、周りの風景は大きく変わっていた。
なぎ倒された木々、抉れた地面。
あたり一面が、戦車でも通ったかのような有様だった。
正面の木々の隙間からオーガの姿が見える。相当頭に来ているのか、さっきまで纏っていた布もボロボロになっており、その正体が明らかになった。
全身を覆うのは漆黒の鎧のような堅牢な皮膚、腕は熊のように太く、人間など軽く潰してしまうだろう。鋭い爪をもち、その頭からは禍々しくねじれた二本の角が生えていた。
オーガはこちらに、気づくとすぐに衝撃波を放って来た。
ゴゴゴゴゴゴゴォォォォォ
ガリガリと地面を抉りながら近づいてくる衝撃波を躱し、俺はオーガへと近づいて行く。
「人間の分際で、生身で俺様に挑むとは命知らずなヤツだな!!」
続けて放ってくる衝撃波を躱しながら、距離を詰めていき、手に持っていた石をオーガ目掛けて投げつける。
ダメージは無いが、オーガの注意だけ引き付けれればいい。
「人間風情ガァァァァ!!!!」
「うっ・・・」
オーガの咆哮に思わず、体が竦んで動けなくなってしまう。
ドゴゴォォォ
「・・・ッ!!」
オーガの突進を受け、5m近く宙を舞う。
地面に叩きつけられ、朦朧とする意識の中で不気味に笑うオーガが近づいてくるのが目に入る。
「情けないものだなァ、終わりだな、人間?」
「あぁ・・・お前がな・・・」
グサリッ
オーガが振り向いた時には、既にオーガの体を傘が貫いていた。
「バ、バカな・・・!?」
「風属性魔法 ウィンドウェポン
武器に風属性の鋭さと速さを付加する魔法とスキルの複合技だ!!!」
オーガが倒れると、緑色の光を纏ったアレンが立っていた。
アレンのスキルは周りのものに魔法の効果を宿すものであり、通常、魔法とは、手から放たれると術者のコントロールから離れてしまうが、アレンは魔法の形や性質を維持したままコントロールすることができるらしい。
「アレン・・・ちょっと遅かった・・・」
オーガの攻撃を喰らって俺の体はボロボロだ。
「ごめんね・・・ケホッ・・・今たすける か ら・・・」
バタッ
突然アレンが倒れた。
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