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なんだよ、それ・・・?
軋む体に鞭をうち、アレンの下へ近づいて行く。
「お、おい、アレン!しっかりしろ!!」
「魔素の代わりに体内のエネルギー使うっていう発想はよかったんだけど、武器の強度が低すぎて、魔力をだいぶ消費しちゃった、えへへ・・・」
こんな時に、笑ってんじゃねえよ。雨のせいもあって、体温もずいぶん下がっている。このままだとマズイ。
グオォォォォッ!!!
「おいおい・・・嘘だろ!?」
オーガが立ち上がっただと?
アレンは消耗した体で攻撃したため急所を外したのか!?
急いでアレンを担いで、逃げるがオーガとの距離は徐々に縮まっている。このままだと追いつかれる。あたり一面丸裸になっており、隠れることも出来ない。
どうする?どうする?
「み・・・みぎのほうに、ゲートが・・・」
ゲート?上手く誘導してオーガごと中に飛び込めば良いのか!
もちろん、もう、この世界には戻ってこれないだろう。
でも、ここまで戦ってくれたアレンを見捨てるわけにはいかない!!
「ニンゲン、コロス、ニンゲン、コロス・・・」
うわ言をつぶやきながら、フラフラしながらも確実に近づいてくるオーガを確認しながら、ゲートへ近づいて行く。
ゲートの近くでは七色の光が木々の隙間から差していて、溢れる魔力の影響か、魔法の使えない俺でもわかるくらい空気がピリピリしていた。
ゲートへ近づくと七色の光は一層強くなった。
アレンをゲートの中に通し、俺はオーガと向かい合った。
「来いよ!!バケモノ!!!」
俺が構えると、オーガが突進してきた。
あれ?
急に世界が速度を落とし、すべての動きをがゆっくりになった。
さっきの突進で頭を強く打ったからな。
意識は朦朧としているが、全ての感覚が研ぎ澄まされ、今ならオーガの動きが手に取るように分かる。
タイミングは一瞬だけだ。
動きをよく見ろ。
狙うは一点のみ!!
「そこだぁァァァァ!!!」
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