第9章

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流動体とは特定の形を持たないもの.........つまりスライムや水の精霊などが当てはまる。 それらの多くには核が存在し、それを破壊することでそのもの自体を消滅させることが出来るのである。 しかし、それには例外があった。それが、完全流動体である。 これは、核というものがなく、存在をまるごと消し飛ばさねばならない。 つまり、翔喜達にとっても強敵、というわけだ。 「キシシシッ。お喋りは終わりだぜ。」 そう言い切ると、イクシオンは姿を消し、次の瞬間にはフォイマを殴り飛ばしていた。 幸いフォイマは魔武器で闇を具現化させ威力を少しは減らしたが、それでもなお数十m吹き飛ばされた。 「くっ!?なんて奴だ。」 「見えなかったわよ。」 「キシシシッ、まぁそう慌てるなよ。全員殺すのは決定なんだからよ。」 そう言って今度はミリーナに近づく。ミリーナには見えているようで何かをかわし剣を振るう。 「奪天流肆之型【流水巡鯱】(りゅうすいめぐるしゃち)。」 ミリーナは剣でイクシオンの攻撃を受け止めて、その反動を活かして回転してイクシオン斬り裂く。 「おまけ......【魔喰いの妖植物】。」 追撃で紫色の蔓がイクシオンを包む。蔓は何かエネルギー的なものをを吸っている。 「ミリーナ、どうして見えたの? 」 ミリーナの背後から皆を代表して零が聞いた。魔力で強化した目でさえ見えなかったからだ。 「.......見えてるわけじゃない。.....でも.......空気中の魔力でわかる。 多分........ハルキとの特訓の......おかげ。」 ミリーナはそう答えた。 本来、空気中の魔力を感じることは一般的に不可能とされている。これは、陽姫もそうだ。 それを感じるための条件は2つあり、1つは空気中から魔力を取り込めること、もう1つは魔力探知に秀でていることだ。 ミリーナにはその才能があったのだろう。 「凄いじゃねぇか、ミリーナ!!これで奴も倒せる。」 「それは......分からないよ。」 ミリーナは心配そうにイクシオンを覆う蔓をみていた。
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