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(くっ......このまま終わっちまうのかよッ!!)
迫り来るスピアにエミルは思わず目を閉じた。
「あら。 終わるのはまだ早いわよ。 」
その声が聞こえたと同時に先程までの轟音は嘘のようにおさまった。
2人が目を開けるとそこにいたのはフィールリア王国現王妃、リーナ・フィールリアだった。
「おっ、王妃様!?早くお逃げ下さい。 」
「いやよ。 せっかく運動が出来るんだもん。 」
どうやら、リーナは戦うために着替えていたようだ。
地味だが耐久性があり、魔力を通すとその強度が増す魔伝糸で作られた白いロングスカート、シンプルだが絶対の魔力耐性を誇るエンシェントワイバーンの皮で作られた革製の鎧。
リーナはいつもとは違う服装だったがやはり中身はいつものままだった。
「おや、次はあなたですか、リーナ王妃? 」
「ええ、そうよ。
それよりも名前を教えてくれるかしら? 私は倒す相手の名前は覚えておきたいから。 」
倒す、という言葉で燕尾服の男はピクリと反応した。 そして笑った。 リーナの言ったことが彼にはとても馬鹿らしく思えたのだろう。
「フフッ......面白いですね。
いいでしょう。 私の名前はケイ。 星を司るもの、そして偉大なるルーダ様に仕えております。 」
ケイは軽く会釈をした。
「そう。 じゃあ始めまs「待ってください!!」 もう!!何よアレク君。 」
さぁ、始めよう!!と言わんばかりのタイミングで水をさしたアレク。
どうやら何か不安なようだ。
「失礼を承知で言いますが、俺たちは王妃様の実力を知りません。 国を守るものとして貴方に助けていただくわけにはいかないのです!!」
そう言ってアレクは立ち上がった。
「そう【祝福の光輪】。 」
リーナは軽く回復魔法最上位に位置する【祝福の光輪】でアレクとエミルの体力、魔力を完全回復させた。 アレクとエミルは余りの事に呆然としていた。
「はい、回復はしてあげたからあなた達はそこで見ていなさい。 ここからはこの【深紅の戦乙女】(クリムゾン・ワルキューレ)の出番よ。 」
深紅の戦乙女..........十数年前にあった人間と魔族との戦争において魔族の大軍をばったばったと薙ぎ払い、魔族の上位である魔人族の軍勢を捻り潰し、よくある魔王直属の四天王を木っ端微塵にし、戦争を企てた魔王軍宰相をチリも残さず消しさった超英雄の二つ名である。
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