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「ハルキさん、これからどうするんでしょうか? 」
一方、こちらの陽姫・カロンペアは自身を透明化しコーベル皇国の皇帝の住む城に潜入していた。
だが、潜入はしてみたものの特に変わった事もなくふらふらと城の中をほっつき歩いていたところだった。
「分からん。 とりあえず一通りみたし王の間.......いや、皇帝の間か。 まぁ、どっちでも良いがそこに行こう。 」
「そうですね。 もしかすれば何か動きがあるかも知れませんからね。 」
城の東側にいた陽姫達は、この城の中央にある皇帝の間に目的地を定め向かっていった。
暫く歩いていると巨大な扉が見えた。 真っ正面からみるといかにも皇帝が居ますよ、という雰囲気のする扉だ。 しかし、模様はあるものの金銀の装飾などは全く無かった。
「カロンの両親って結構国民のこと考えてるのか? 」
「えぇ、父は元々平民の身でしたので平民の苦労はよく分かっている、と言って納税の減額、商売の制限解除、差別禁止等いろいろな改革をしてきましたわ。
母も病弱ですが常に国民の為に出来ることは色々やっていましたわ。 」
「そうか.......いい親に恵まれたな。
じゃあそのご両親を守るためにも潜入しちゃいますか、 皇帝の間。 」
陽姫は透明化の魔法に加え更に魔力遮断、気配消失、存在認識の阻害、と連続して古代魔法を発動し更に音声遮断の魔法を発動した。
カロンが陽姫に常識が通用しないことをまじまじと実感した瞬間だった。
陽姫達は念のため扉を使わず転移で中へ侵入した。 皇帝のいるここは扉同様、金銀がほとんど無く腕のいい職人による技巧に富んだ天井の模様が目立つだけだった。
「ハルキさん、どうですか? 」
「おっ、ちょうど話してるぞ。 」
姿は見えている筈もないのに天井から垂れ下がっている赤い幕の後ろから陽姫は皇帝の玉座を見ていた。
玉座の周りには数人が集まっていて、その中にはあのルミナもいた。
「皇帝様、早くご決断を!!」
「いや...........しかし信じられん。 ルミナよ、本当にあのハルキ君がカロンを斬ったというのか? 」
「ハルキさん.........これは一体? 」
「完全に俺を嵌めようとしているな。 」
とりあえず陽姫達は話の全容を聞くことにした。
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