第9章

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ネフルティスが動く。 そのスピードはネフルティスの残像を作り出すほど凄まじく、そのまま陽姫に接近する。 陽姫は魔衣は間に合わないと判断し、無詠唱で氷、空の身体強化を重ねがけして応戦する。 魔衣が発動出来ない今、絶属性の身体強化を使いたかった陽姫だが、絶属性は扱いに難しく、身体強化は出来ないでいた。 「身体強化かぁ........考えたが、それでも俺には程遠いぜっ!!」 ネフルティスの動きはますます鋭さを増し、もはや身体強化にも限界があったかに見えた。 だが、陽姫はさらに空気、影、幻の三つの属性の身体強化を重ねがけ、五属性の身体強化により力を均衡に戻す。 「はっ、やるじゃねぇか。 」 「やかましいわっ!!」 陽姫の音速並みの蹴りが放たれる。 ネフルティスは真っ向から蹴りを放ちそれを相殺させる。 およそ人の脚からは発せられない爆発音のようなものが当たりに響き、衝撃が結界にヒビをいれる。 更に攻撃は激しさを増し、余波によってとうとう結界は破壊された。 「くっ!?結界が!!」 「いいじゃあねぇか、せっかくバトルフィールドが広くなったんだ。 第二ラウンドといこうじゃねぇか。 」 その瞬間ネフルティスの姿が消えた、と思えば既に陽姫に"背後からの攻撃を"完了させていた。 陽姫自身も蹴り飛ばされてから気づき、焦りが生じた。 (やばい!!やられる!!) もはや光のように移動するネフルティスに対して身体強化のみで挑むのには無理があった。 「ちっ、【氷「やらせねぇっていってるだろが!!」 がぁっ!?」 ネフルティスの見えない攻撃が四方八方から襲う。 陽姫は致命傷は避けているものの、どんどん傷が増え、それに伴って出血も増えていく。 「く......そっ。.....奪....妃!!」 怒涛の連続攻撃の最中、陽姫は奪妃を喚びだし、更に絶属性を纏わせネフルティスへ反撃する。 ネフルティスは奪妃に纏われたそれに危機を察知したのか陽姫から距離をとる。 「てめぇ、何だその異質な力は? 」 「奪妃【万物の強奪『俺の負ったダメージ』】........よし、これでチャラだ。 」 陽姫は奪妃の能力で全快し、奪妃を構える。 対するネフルティスは警戒を更に強めて攻撃体制をとる。 「さぁて。 俺の猛攻といきたいとこだが.......時間のようだ。 」 ネフルティスはそう言い残しフッとその場から消えた。 「ッ!?........しまった!!」 陽姫が追おうとした時には既に魔力の跡すら消えていた。
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