2243人が本棚に入れています
本棚に追加
/546ページ
「自己紹介は済んだな?
では、次の議題........『月の輪』についてだ。 」
ルーダは次の話を始める。 そこで手を挙げたのはひょろひょろで白衣をきた男だった。
「アーカイン、頼む。 」
「はい。 『月の輪』についての研究報告です。
現在、『天柱』は全体の45%ほど進んでいますがやはりあの少年の血液が必要です。
ゾリスについてですが、まだまだ改良が必要です。 あと数回のアップグレードとデータと質量の軽量化、更に魔力の循環器を調整したい次第です。 」
「そうか。 いつもながらいい仕事だ。 」
「いえいえ、僕も早く願いを叶えたいですからね。 」
アーカインはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて着席する。 ルーダは全ての話が終わったようで、これで会議を終了するといって早々に会議堂を退席した。
「キシシシッ、今日はあっさり終わったな、会議。 」
「そうね.......でも、あの暗い感じの男............気に入らないわ。 」
長い廊下を歩きながら、イクシオンとアスタは今日のことについて話していた。
「確かにあいつは何か企んでそうだな。 あの治癒のねぇちゃんとちがってよ。
だが、ルーダ様の決めたことだ。 それが俺たちの決定でもあるんだよ。 」
「.........そうだったわね。 」
そこで話が途切れた。 長い廊下はまだまだ続き嫌な沈黙が続く。
「ねぇ。 」
「何だよ? 」
「この計画って...........成功するわよね? 」
アスタは俯きながらイクシオンに聞く。
「キシシシッ。 いつもの傲慢さはどうしたアスタ嬢。
成功するに決まってるじゃねぇか。 」
「そうね.........さっきのは無しよ。 早急に忘れなさい。 」
「キシシシッ。 気が向いたらな~。 」
そう言って部屋に入っていったイクシオン。 アスタはこれ以上悩むのは無駄だと思い、自室に戻って寝ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!