第10章

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結果からいうと、陽姫にとって筆記テストは簡単だったらしい。 次の日も解答時間の6割を睡眠で埋めた。 割愛したのは決して作者がだるくなったからではない。 決して。 「よっしゃ!!やっと実技だぜ!!」 テスト三日目、バンはやっといつもの調子に戻った。 静かなバンは気持ち悪いがいつものバンも気持ち悪かったことは誰も口にはしなかった。 「では、次は1-Sの生徒、出席番号順に並んで座って待っていてください。 ..........では、出席番号1番のモブミン・エンジェルカース君、闘技場へ。 」 そして実技テストが始まった。 「なぁ、他の学年とかはいないのか? 」 陽姫は横に座っているカルナに聞く。 「他の学年は私達が筆記テストの時に終わってるのよ。 ってか、何であんたがここにいるのよ? あんた1番後ろでしょうが。 」 「いいじゃねぇか。 俺だけ実技テスト免除なんだよ。 折角、新しい魔法使おうと思ったのにさぁ。 」 「はいはい、そういうのどっかの研究所でやってきなさい。 良い待遇されるわ。 じゃあ私の番だから行くわ。 」 カルナはそれだけ言って闘技場へ向かう。 陽姫は見ているのも飽きたのでギルドに向かうことにした。 ───《不敗の剣》──── シュン 「っと着いた。 誰かいるか? 」 「あっ、ハルキなの~。 」 陽姫が扉を開けると、このギルドの受付、シェイル・リブラが陽姫の元へ走ってきた。 「久しぶりだな、シェイル。 なんかいい依頼あるか? 」 「おぉ、ハルキじゃねぇか。 テストはどうしたんだ? 」 奥の方から声が聞こえてきた。 その声の主は赤い髪と目つきの悪さが特徴的な男であった。 そう、《不敗の剣》のギルドマスターのカイル・フレティアである。 「よう、カイル。 実技テスト免除で暇なんだよ。 ってかなんかやつれてないか? 」 確かに陽姫の言う通りカイルは疲れているように見えた。 ボサボサの髪の毛、目の下のクマ、痩せこけた頬........ 「あぁ、この前の襲撃の調査書纏めてるんだよ。 んで三日寝てないんだよ。 」 「マスター、終わったんですか? 」 「当たり前だ。 だからしばらく寝る。 起こすな。 」 カイルはそれだけ言って再び奥に戻っていった。
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