第10章

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「おぅ、登録は終わったか夢生。 」 「うっ..........終わったかじゃねぇよ。 これは一体なんだよ、マスターよ。 」 夢生は周りに立ち込めている生き物の焼けた匂いに顔をしかめながら陽姫に近づいてくる。 「あぁ、これから討伐するエミリオの仕業だ。 」 「ッ!?エミリオって言えば土地神レベルの生き物じゃねぇかよ。 倒せるのかよ。 」 エミリオとは陽姫達が今いるバスター地域に棲息している土地神に最も近いとされている精霊であり、ここの地域の人々は昔からエミリオを信仰していた。 しかし、ここ数日の間でエミリオにより土地が壊され、魔物が殺され、更にはバスター地域の人々も被害にあっているらしい。 「何を言ってるんだ? 今日は夢生、お前の初依頼だ。 」 陽姫はビシッと指を夢生に向けて言う。 夢生は眉をひそめて陽姫を見る。 「何言ってんだよ、エミリオだぜ!?私じゃあ勝てねぇよ。 」 夢生はブンブンと顔を横に振り出来ないと言う。 しかし、夢生のお願いを聞いてくれるほど今回のお相手のエミリオは優しくはないわけで....... 『人間.........殺ス。 』 「ほら、やって来たよ。 」 全身を色々な生物の血で染め、若干芸術チックに変身したエミリオの登場であった。 「とりあえずお話してみるか。 お~い、エミリオ聞いて『ガァッ!!』 おっと...........どうやら交渉決裂のようだ、夢生。 だから後よろしくね。 ちゃんと危なくなったら助けるから。 」 「ちょっ、待っ............消えやがった。 」 陽姫は夢生の言葉を聞く前に転移した。 「くそっ!!...........みたところ周囲1kmにわたって転移防止の効果がついた結界が張られてるじゃねぇか。 あの野郎............帰ったら殺す。 」 夢生は改めてエミリオを見た。 図鑑で見た姿とは大差ないが、優しい青い瞳が黒く淀んでいるのが気になった。 (あれはやべぇな。 攻撃特化モードでいくか。 ) 夢生は左腕についているカバーを開け、キーボードを操作する。 これも陽姫による改造である。 「んじゃいきますか。 モード変更【BERSERK】(ベルセルク)。 」 ((OK.FANCTION24,【BERSERK】START.)) 夢生が変化し始めた。
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