第10章

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「物理でだめなら魔法だ!!【フレイムアロー】×10000。 」 夢生は大量の火の矢を生成しエミリオに向けて一斉に放つ。 込められた魔力は均一では無いが空を埋め尽くす程の矢は壮大であった。 「はい、どーん!!」 夢生の号令で矢は一斉に降り注ぐ。 ただの物量によるごり押しは見事エミリオを飲み込んだ。 「仕上げだ。 【フレイムボム】。 」 トドメの上級魔法によりエミリオがいた場所は大爆発を起こし、大地をえぐる。 並大抵の生き物では形すら残らず消えてしまうだろう。 『クックックッ.........魔力ヲアリガトウ。 』 しかし、エミリオは並大抵などという言葉では収まるほど弱くはなかった。 エミリオ討伐がOXランクに指定されている理由........それはエミリオは絶対の魔力耐性があるからである。 「おいおい..........こんなの勝ち目ねぇじゃんかよ。 」 夢生の中に焦りが生じた。 『フフッ..........ツギハ......ボクノバンダヨ。 』 先ほどよりも流暢に話すエミリオはその身体を優雅に踊らせながら夢生へと近づいていく。 その流れる水のような動きに合わせてエミリオは鎌へと変形させた両腕を振るう。 その行動に無駄はほとんどない。 夢生はしだいに攻撃を受けないことだけで精一杯になってくる。 (やばい.........確実にやばい。 ) その大きくなった焦りがミスを生んだ。 「あっ.......しまっ.......。 」 夢生は足がもつれて転ぶ。 なんて日だ!!と思う暇もなくエミリオは無慈悲にもその鋭利な鎌を振りかざす。 もう回避は間に合わない。 夢生は思わず目を閉じた。 「はい。 残念ですが選手交代です。 」 「.........ッ!!マスターじゃねぇか。 」 音もなく現れた陽姫は奪妃で鎌を防いでいた。 『マタ邪魔者ガ現レタ。 デモ、殺スコトニ変ワリハナイヨ。 』 エミリオはもう片方の鎌を数十メートルにまで巨大化させて横に一振りする。 陽姫は防いだ鎌を押し返して夢生を抱えて上空に飛ぶ。
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