第10章

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「全く.........もうちょっと頑張って欲しかったな。 」 上空200メートル程の高さにとどまっている陽姫が夢生に言った。 「あんなのどうやって倒せっていうんだよ!!ってか放せ!!」 小脇に抱えられた夢生は顔を赤く染めてジタバタする。 陽姫はやれやれと言って空中に魔力で足場をつくってから夢生を放す。 「まぁ、初めての戦闘にしてはまあまあだな。 だが、あの大量の火の矢はよくないぞ。 」 「なんでだよ? 物量に任せるのが一番だろ? 」 夢生はさも当然のように言う。 「はぁ.........。 いいか? 相手はOXランクだ。 いくら中級魔法を撃ったところで大したダメージにはならないんだよ。 最低でも最上級は撃つべきだったな。 」 「お..............おぅ。 」 「まぁ、いいや。 今から俺がやってくる。 ちゃんと見てろよ。 」 そうやって陽姫地上に向かう。 夢生は疲れたので上空から魔力で目を強化して見ることにした。 『アッ........アラワレタネ。 サッサト殺サレテヨ。 』 「生憎だが、そういう予定は入ってないんでな。 」 陽姫はエミリオをみる。 エミリオは目の光は無い。しかし、尋常ではない殺気を放っていた。 『ジャア.........ボクガ死亡予定ヲキザンデアゲルヨォォォォォォォォォ!!』 エミリオは瞬時に陽姫の背後をとる。 どうやら本当の本気らしい。 エミリオは一瞬で決着をつけるため光の扇を発射。 大爆発を起こす。 『マダ生キテルネ.........今スグニ楽ニシテアゲルカラ....【聖夜ノ惨劇】。 』 エミリオは莫大な魔力を全身から放ち、それで白と黒の翼を形成する。 『.........行ケ。 』 その号令と共に無数の羽根が陽姫をめがけて飛んでいく。 その量は夢生の矢とは比べ物にならない。 「どこ狙ってるの? 」 『ナッ!?........アガッ!!』 羽根が放たれたのとほぼ同時にエミリオの背後に現れた陽姫は奪妃に魔力を付与してエミリオを斬る。 エミリオは反射的に防御魔法を展開する。 だが、完全には防げず浅く背中を斬られる。 『グッ......何故背後ニイルノ!?気配ハ向コウカラシカ...........ナノニ何故!! 』 「残念だったな。 あれは分身だ。 」 陽姫は指を差す。 その先にはボロボロになり原型すらあまりとどまっていない氷の像があった。 「いわゆる氷分身ってやつね。 ちょっと手は加えてあるけど。 君はまんまと騙されたってわけだよ。 」 『ヨクモ騙シタナァァァァァァァァ!!【邪恨撃】!! 」 負の波動が陽姫を直撃する。 しかし、それすらも氷の残骸へと姿を変える。
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