第10章

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陽姫が走り出す。 天氷竜は痛みを堪え陽姫を睨みつける。 「奪天流弍之型【蜂王穿孔】。 」 陽姫による高速の移動プラス高速の突き。 狙うは機動源の脚の根元。 しかし、天氷竜が飛び上がるのが僅かに早く、陽姫の攻撃は脚の先のみを粉砕する。 「ギャァァァァァァァァァ!!!」 天氷竜は悲痛な叫び声をあげる。 傷口は無惨な状態で、血が溢れるように流れ落ちる。 「.........ググッ.....ギッ、ガァッ!!」 天氷竜は血が流れるのが良くないと判断し、破壊された右脚を自分の魔力で凍らせ止血する。 「意外に賢いものだな。 流石竜種と言ったところか。 」 そう言うと、陽姫は天氷竜まで魔力で足場をつくり追撃を狙う。 しかし、空では竜種の方がやはり有利であった。 地上では見る事の出来ない高速で空を泳ぐ。 陽姫も至る所に足場をつくるがそれでも追いつけない。 (ちっ、脚を狙ったのは間違いだったな。 ) 「ガァッ!!」 陽姫の真上をとった天氷竜は陽姫目掛けて氷のブレスを放つ。 陽姫は氷の防御魔法を展開するがそれも貫かれる。 「やばっ!?【ワープ】。 」 とっさに創ったのは転移の応用で、狭い範囲を少ない魔力で転移する魔法だ。 「グルッ!?」 天氷竜は突如消えた陽姫を探すため周りを見回す。 しかし、陽姫のいた場所は天氷竜の遥か上だった。 『あの一瞬で魔法を創るなんて.........異常ね。 』 「やばかった。 もうちょい遅かったら氷付けだったな。 」 『さっさと絶属性でも奪属性でもいいから使って終わりにしなさいよ。 どうして使わないの? 』 奪妃は尋ねた。 「決まってるだろ。 あの野郎を倒すには絶属性とかに頼ってたらダメなんだよ。 もっと命かけて実践を積みたいんだよ。 だから絶対使わない。 」 『はぁ........強そうね、意志。 そこまで言うなら勝ちなさいよ。 私の使い手なんだから。 』 「分かった、さっと終わらせるぞ。 」 陽姫は急降下していった。
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