第10章

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「マスターの野郎.........どこ行ったんだよ。 」 その頃、無事ユーラの花を摘んだ夢生は陽姫を探すために辺りを見回していた。 「ったく、あんな壊れやすいとは思ってなかったわ。 お陰で苦労したぜ、全く。 」 実は、夢生はユーラの花が超低温でなければ生きられないということを忘れ、数十本のユーラの花を無駄にしていた。 「グルァッ!!」 「あっ!?天氷竜!!」 夢生が見つけたのは陽姫ではなく天氷竜であった。 「先手必勝だ、死にやがれ【炎の輪舞曲】。 」 八つの炎の輪っかが色々な角度から天氷竜を狙う。 しかし、天氷竜は咆哮一つでそのすべてを凍らせ、砕く。 「ちっ、上級じゃ無意味か。 なら、これは? 烈火の猛威にその身を焦がせ。 炎の神の怒りを受けよ。 【迦具土(かぐづち)】。 」 現れたのは巨大な竜、いや蛇だ。 全身を灼熱で覆い、黒い眼で天氷竜を睨みつける。 そのせいで空気が急激に温まり、風が吹き荒れる。 「行け、迦具土!!」 「キシャァァッ!!」 夢生の掛け声と共に天氷竜に突き進む炎の化身。 炎とそれにより生まれた暴風を身に纏い大地を抉りながら突き進む。 「ゴァァァァァァァァァッ!!」 しかし、それをもってしても天氷竜の力を打ち破ることは出来なかった。 迦具土は吹雪のようなブレスを浴び、氷像と化してしまった。 「やべっ!!あれ以上の火属性魔法はねぇぞ!!」 自身最強の火属性魔法も効かず狼狽える夢生に天氷竜は飛びかかるが 「ひゃっほー!!俺を忘れちゃあ困るぜ!!」 空から降ってきた一筋の光にぶち当たり地面に叩きつけられた。 「大丈夫かい? 夢生ちゃん。 」 「大丈夫だよ。 ってかなんだよその姿は? 」 夢生は陽姫を見て言う。 服は普通だ。 しかし、問題は両手と髪と眼だった。 髪は金と黒の二色が混ざった長髪で眼は輝く金色でさらに両手はなぜか刀と一体化していた。 「いやぁ~、奪妃と融合しちゃった。 なんか奪妃の新しい能力らしくてねぇ、キャラが変わるのが問題点だ。 」
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