第10章

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「そうか。 じゃあ気持ち悪いからさっさと倒してきてくれ。 」 「おっけい!! さぁて!!やってやるぞ。 」 「ガァッ!!」 地面に叩きつけられた天氷竜は激昂し、ぐちゃぐちゃになった大地を魔力で吹き飛ばす。 そして陽姫を見る。 その眼には怒りが露わになっているのが明らかだった。 天氷竜が動いた。 大きな両翼を大きく動かし一気に上空へと飛び上がる。 「待ちやがれってんだ!!」 陽姫もそれにつられて飛ぶ。 全身に空属性を纏っているのだ。 「空属性がこんなに便利だとは思わなかったぜ。 それよりも今は天氷竜狩りだぜ!!キャッハーー!!」 陽姫は金色の閃光となり空を縦横無尽に飛ぶ。 それも天氷竜が追いつけないスピードでだ。 「くらえ!!奪天流弍之型改【蜂王双穿】。 」 刀となった両腕を突き出し猛スピードで天氷竜に突っ込む。 一直線の攻撃が読めたのか天氷竜は再び氷のブレスを放つ。 しかも、今までで最大だ。 「んなもん当たるかよ、バーカ。 」 ブレスが当たる直前、陽姫はフッと姿を消した。 「グルッ!?」 「こっちだったり。 」 声がしたのは真上。 さっきのはどうやら分身だったようだ。 天氷竜はそれに気付きブレスを放とうとするがそんな時間は無かった。 天氷竜は陽姫に翼を貫かれそのまま墜落する。 大きな地響きと共に地上に戻ってきた天氷竜と陽姫はまだ互いの出方をうかがっていた。 「マスター、もういいから早く次行こ。 」 「え~。 まだ心の臓を貫いて無いよ~。 」 融合を解いていない陽姫は異様にうっとおしかった。 「調子に乗りすぎなんだよ、マスター。 早く次のやつ終わらせるよ。 」 「へいへい。 奪妃、融合解除。 」 すると突如陽姫が光に覆われ、夢生は思わず眼を閉じた。 暫くして光が収まり、夢生が眼を開けると奪妃を持ったいつもの陽姫がそこにいた。
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