第10章

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霊樹を見つけるまでにさらに三十分ほど掛かった。 「はぁ、やっと見つけた。............というか酷い荒れ様だな。 」 陽姫の言うとおり酷い状態であった。 霊樹のために作られたであろう柵はバラバラになり、近くにある祠も破壊され破片がそこらに飛び散っていた。 「誰がこんなことするのか理解出来ん。 とりあえず【万物の強奪『ダメージ』】対象霊樹を中心とした半径二百メートルのもの。 」 するとあっという間に全てが元どおりになる。 元どおりになった祠は小さな可愛らしいものでウサギをかたどった石が祀ってあった。 「よし、後は補強だけd『おいっ!!そこのお前。 』 ん? 」 背後から声がした。 振り返ってみるとさっきまで誰も居なかったはずのこの場所に簡易な着物姿の男の子がいた。 背は陽姫の胸あたりまでしかなく、ウサギのような赤い眼で陽姫を見ていた。 「何だ? 坊主。 さっきまでここには俺以外はいなかったはずだが。 」 『坊主などと言う名前ではない!!私にはちゃんと"清善童子(しんぜんどうし)"という名前があるのじゃ!! それよりもここを直してくれたのはお前か? 』 「まぁ、そうなるn『礼を言うのじゃ!!』 おいっ、ちょっ!? 」 清善童子とかいう子供は陽姫の懐に飛び込んだ。 陽姫は急に反応出来ずにその子供と一緒に倒れる。 「痛い。 というか何故こんなところに居るんだ? 」 陽姫は自分に馬乗りになっている清善童子に聞く。 『私はあの祠に祀られていた土地神じゃ。 だから今まではちゃんと祠を守っていたのじゃ。 じゃが、数日前に強力な魔物が来ての、霊樹は守れたのじゃが祠を破壊されて...........ヒッ、ウッ。 』 そこまで言うと清善童子は泣き始めた。 陽姫は清善童子を自分からおろし、そして言う。 「じゃあ、俺がその魔物を倒してやるよ。 」
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