第10章

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『なっ、何を言っておる!?土地神の私でさえ勝てないのだぞ!! 人間であるお前が勝てるわけ無いだろ!!』 「大丈夫。 俺も弱くは無いから。 ちょっと念話するから待ってろ。 」 陽姫は清善童子の頭を撫でながら夢生に念話をつなげる。 ((夢生、大丈夫か? )) ((ただ霊樹の補強だけでどれだけ時間かけてんだよ!!.....こっちはしんどいぞ!!)) ((そうか、いい修行だと思いたまえ。 そんなことはどうでもいい。 俺は新しいお願いされたから夢生は先に帰ってていいから。 )) ((えっ!?......ちょっと!!)) 陽姫は半ば強引に念話を切る。 「おい、清善童子。 その魔物はいつ来る? 」 『わからないのじゃ。 いつもならもう来ているのじゃ.......あっ!!来たぞ!!』 清善童子は空に向かって指を差す。 それを追うようにして空を見ると翼の生えた大きいものが近づいて来る。 「先制だ。 【コキュートス・ジャベリン】。 」 正々堂々を度外視した一撃は見事に命中したかに見えたが、何やら暴風が吹き荒れ氷の槍は砕かれる。 「風系統の魔物か。 」 『早よう逃げろ人間!!お前では太刀打ち出来ん!!』 清善童子は陽姫に逃げさせようとするが、魔物は陽姫たちの前に降り立った。 二対の翼を持ち、ギラギラひかる青い眼で陽姫たちをみる。 「ギブラか.............確かZ手前くらいの奴だな。 」 『おい、小僧......今日こそあの霊樹の実を頂くぞ。 』 ギブラが言う。 霊樹の実とは名前の通り霊樹になる果実で、一口食べれば圧倒的な力が得られるという噂がある。 本当かどうかは食べてみないと分からない。 『この間も言ったじゃろうが!!あの実は自身の身を滅ぼす。 だから誰にもやることは出来ん!!』 『そうか.......だが、いつまでそんな事が言ってられるかなっ!!』 ギブラは翼を動かす。 嵐のような風が辺りのものを吹き飛ばす。 『やっ、やめるのじゃ!!』 清善童子は無数に魔法を放つが、ギブラの羽ばたきに全てが通じない。
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