第11章

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その道は光苔が大量に繁殖していたためとても明るく、零達は無事に抜けることが出来た。 通路を抜けた先には自然に出来たと思われる大穴の底に出てきた。見上げてみると、そこには綺麗な青空が木々の合間から少し見えていた。 「やっと正解の道だったようね。 近道でもする? 」 シリアはそう言って上を指差した。 しかし、とても自力で登れるような高さでは無かった。 「.........にしてもこんなに深い所まで来てたとは思わなかったよ。」 自分の選択が予想以上に悪いものだと感じた零は少ししょんぼりする。 「とりあえず進まないか? 」 そう言うジェルに賛成し微かに差す陽射しの中を進んで行く零達。 「ギィィィィィィィッ!!」 突如、上から奇声が聞こえた。 見上げてみると、姿はない。 「零、ジェル、魔力で探すのよ!!」 何かに気付いたシリアはそう指示を出し、横に跳ぶ。 すると、いきなりシリアがいた地面が抉れる。 「えっ!?」 「なるほど、見えない敵じゃな。 」 二人もある程度の範囲の魔力を探知しながら攻撃をかわしていく。 「シリア、こいつらはステルス・バードじゃな? 」 「えぇ。 それも何体かいるわよ。 」 ステルス・バードとは全身を特殊な体液で覆うことにより文字通り姿を消す魔物であり、ランクは一体でSSSある。 実は、正解と思っていたこの道にはそのステルス・バードの巣があり、零達は見事に見つかってしてしまったのだ。 「くっ、ガオン【地面操作】。 」 ジェルは魔武器の能力で地面を槍に変形させて上を突く。 しかし、手応えはない。 「くっ、位置が分かってても当たらない!!」 「やばいわね。 」 零もシリアも魔力反応のあるところに魔法を放つが、手応えは全くなかった。 「せめて正確な位置さえわかれば........っ!!そうだみんな、こっちに!!」 何かを思いついた零はシリアとジェルを壁際まで下がらせて自分がその前に立つ。 「荒れ狂う濁流よ。 全てを飲み込め【マッド・ウェーブ】。 」 零が詠唱して威力を底上げした上級魔法が発動する。 泥で出来た大波が巨大な壁のようにいるであろう敵に向かっていく。 「よし、これで姿が見えるはずだ。 」 零の言う通りだった。 波が収まると、今までは見えなかったステルス・バードの姿が泥によって見えた。
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