第11章

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「後はわしらが行く。 ガオン!!」 「私も。 ティオラ。 」 泥にまみれてほんの少し動きが遅くなったステルス・バードに向かってジェルとシリアは無駄のない動きでその群れの中へと向かって行く。 透明化という絶対防御策が無くなりただの獰猛で大きな鳥へと大幅ランクダウンしたステルス・バードにシリア達が苦戦するはずもなく、決着は数分でついた。 「ふぅ、終わったわね。 」 「うん、先に行こう。 」 零達は広がる血の海を越えて先に向かった。 そこから暫く歩くと徐々に明るくなってきたのがわかった。 「やっと出られるのじゃな。 」 「これでまた変な迷宮とかだったら笑えないけどね。 」 零は期待と不安とを抱いてその光へと進んでいく。 結果、零達を迎えたのは暖かな日の光だった。 「「「出られた!!」」」 零達は喜びの余り何度も飛び跳ねる。 「ふぅ、ここはどこかし.............嘘!?」 ひと段落ついたシリアが辺りを見回していると急にシリアが固まった。 「どうしたっ.............えっ? 」 「零...........やってしまったのぅ。 」 零達が見る先には大きなログハウスのような建物があった。 そう、あの建物である。 「「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 【箱庭】の中での二ヶ月を無駄にしたD班の悲鳴が辺り一体に虚しく響いていた。 ───E班──── 「んっ!?男女の虚しい叫び声が!?」 「どうした、リリア? 」 「いいえ、何でもありませんわ。 」 実はD班が絶望していた頃、E班も同じように絶望的な状況に陥っていた。 とは言うが、別にとてつもない力を持った魔物が目の前に立ち塞がっているとかそういう真剣な絶望ではない。 「アルド、起きろ。 全然進まないじゃないか。 」 「んんっ.......善処すr..............zzz。 」 この異常なまでも結束力の無さ、そしてゆる~い空気。 彼らにとっては、修行もピクニック気分なのかもしれない。 「また寝たか........ったく敵が来た時はちゃんとするのに。 」 「カイルさん行きましょう。 」 「そうだな。 .......んっしょっと。 」 カイルはアルドを背負い再び密林の中を進む。
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