第11章

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歩き始めて30分、むし暑い密林の中を進むカイル達、いやアルドを背負っているカイルには少し辛いものがあった。 「あぁ~こういう暑いのは嫌いだわ~。 」 「そうですか。 ...........っ!!カイルさん、敵がこちらに向かっています。 」 緻密な魔力操作の苦手なカイルの代わりに半径数キロに渡って敵の動きを感知していたリリアは自分達に近づいてくる何かを発見した。 「リリア、接触回避は可能か? 」 「いいえ、間違いなく接触します。 後30秒、 方角は南西です。 」 カイルとリリアは敵が来るであろう方向を警戒しながら少しでも自分達が有利に動ける場所へと移動する。 「ここなら身を隠すのにも大丈夫だろう。 」 カイル達はあえて木々の中に身を潜め敵がくるのを待つ。 「アルド、敵が来るぞ。 」 「んっ!!分かった。 」 カイルがそう言うとアルドは一瞬で臨戦体制にはいる。 まさに魔法の言葉である。 「来ましたっ!!」 「キューーーーーン。 」 現れたのは美しい毛並みと立派な角、さらに純白の翼を持った馬のような生き物であった。 「幻獣ユピラ.........あいつ、こんなやつまで俺達に倒せって言うのかよ......。 」 幻獣ユピラ 地上ではほぼ観測されない。 見た目はペガサスとユニコーンを足した感じで、生息域は高度三万~五万メートルに浮かぶ島々にあると言われている。 別に天空のアレではない。 「雷属性の魔法を使う........だったな。 」 「はい。 城の書庫で見たことはあります。 確か、古代人の大陸戦争を一撃で止めたのがあのユピラです。 」 元々、ユピラは温厚である。 しかし、ここは陽姫の魔法の中である。 そんなゆるい設定はない。 「キュアッ!!」 ユピラは目の前のカイル達を捕食対象と見なし、たて続けに雷魔法を撃つ。 カイル達は身体強化をし、木々を利用してそれらから逃れる。
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