間章のニ

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「せ、船長! 船長てーへんです!」  取り乱して戻って来た仲間に、船長、ヒュドラは視線を向ける。 「どうしたよ?」 「あ、兄貴が!デルフィネスの兄貴が!  何か、崖から飛び降りて来た変な強そうな女と戦ってやして……。」 「ありゃ、加勢に行かねーとマズイッスよ!」 「ああ、成る程な。」  ヒュドラは笑いながら椅子から立ち上がる。 「相手は十二聖護士だそうだ。いくらあいつでも、勝てなかったらしい。  ……ま、死んではいねーらしいから、とりあえずは心配すんなや。」 「へっ……」  海賊は僅かに目を丸くする。そんな仲間の肩を叩きながら。 「数キロ先に詰所作ってる兵士いるだろ? ボランスの奴が、既に紛れこんでんだよ。  ま、何とか助けてくれんだろうよ。」  よく無事に戻って来たなと笑みを向けられ、海賊は目を僅かにウルウルとさせる。 「せ、船長ぅ~……」 「おまっ、気色悪い面すんじゃねぇ!」 「あでっ!」  軽く小突かれて頭を押さえる仲間に笑った後、ヒュドラは町の長が使っていた建物から出る。 「十二聖護士、ね……ククッ、こいつは面白い喧嘩になりそうだぜ。」  そう言って、ヒュドラは実に愉快そうな笑みを浮かべた。
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