10人が本棚に入れています
本棚に追加
「せ、船長! 船長てーへんです!」
取り乱して戻って来た仲間に、船長、ヒュドラは視線を向ける。
「どうしたよ?」
「あ、兄貴が!デルフィネスの兄貴が!
何か、崖から飛び降りて来た変な強そうな女と戦ってやして……。」
「ありゃ、加勢に行かねーとマズイッスよ!」
「ああ、成る程な。」
ヒュドラは笑いながら椅子から立ち上がる。
「相手は十二聖護士だそうだ。いくらあいつでも、勝てなかったらしい。
……ま、死んではいねーらしいから、とりあえずは心配すんなや。」
「へっ……」
海賊は僅かに目を丸くする。そんな仲間の肩を叩きながら。
「数キロ先に詰所作ってる兵士いるだろ? ボランスの奴が、既に紛れこんでんだよ。
ま、何とか助けてくれんだろうよ。」
よく無事に戻って来たなと笑みを向けられ、海賊は目を僅かにウルウルとさせる。
「せ、船長ぅ~……」
「おまっ、気色悪い面すんじゃねぇ!」
「あでっ!」
軽く小突かれて頭を押さえる仲間に笑った後、ヒュドラは町の長が使っていた建物から出る。
「十二聖護士、ね……ククッ、こいつは面白い喧嘩になりそうだぜ。」
そう言って、ヒュドラは実に愉快そうな笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!