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だらしない欠伸をしながら、ピスケラ・アルレーシャは街に向けて歩いていた。
長く、濃い金色の髪を後ろに流し、ヘアバンドで前に落ちないようにしている。
ヘアバンドに隠れているが、ちょっぴりと大きな傷の一部が顔を覗かせていた。
「くぁ……。」
そして、またもや大きなあくび。
つり目気味の勝ち気そうな眼と碧眼の瞳。肌はやや白く、はたから見れば綺麗な顔立ちをしている。
大きな胸には黒い布を巻いているだけであり、下をスカート……と、いうより茶色っぽい長い布切れを巻き付けている様な、扇情的とも言えるファッションをしているが、別に彼女は痴女ではない。
彼女の住む、『十二区』お馴染みの格好なのである。
暑い、南国チックな十二区だからこそなのである。
……そこで、またもや欠伸。せっかくの美人が、台無しであった。
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