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惨めだ。マオは思う。弱い事は、惨めな事。
魔族と人の間に生まれ、疎まれて、口減らしにあい……。
弱くてどうしょうもなくて。独りぼっちで生きてきた。弱いから、それしか出来なかった。
強くなったつもりでいた。強くなれたと、思い込んでいた。
でも、結局こんなものだ。ちょっと強くなったつもりでも、目の前の奴には何も出来ない。強い存在が、恐くてたまらない。
「ひぃ……。」
マオは、耳を閉じて目を瞑り、膝を抱え丸くなる。
男が何か言ってるが、解らない。もう何でもいいから、早く終わって欲しかった。
やっぱり、山の中で誰とも関わらずひっそりとしていれば良かったのだ。弱くて惨めな自分にはお似合いだろう。
「……! ……!!」
頭に、声が響く。
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