間章の一

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「うっ……けほっ、ゴホッ!」  何とか、マオは起き上がろうと芋虫の様に地面を這う。 「大丈夫でやすかい? パイクシスさん。」 「……おう。いや、わりいな。助かったわ武犬。油断しちまったぃ。」  苦笑混じりに頭をかき、パイクシスは恥ずかしそうな感じで立ち上がる。 「……こいつが、件の十二聖護士……じゃあ、なさそうでやんすね。」 「あー、何か知らねーが喧嘩吹っ掛けて来た魔族だ。」  やれやれとパイクシスは立ち上がる。  マオも荒い息を吐きながら立ち上がろうとする。 「おいコラッ! 動くんじゃねぇよ!」  武犬の怒声に、マオは僅かにたじろぐ。 「……? 傷が塞がってやがる……。」  まさかこいつが魔王か? と武犬はパイクシスの隣に立ち、見上げる。 「オウよ。案外、いい拾いもんが――――!?」  パイクシスが、一歩前に踏み出そうとした瞬間――――目の前にばかでかいカットラスが突き刺さる。 「こりゃ、ホエールの旦那の……!?」  遠くからやって来る一人の女性の放つ威圧感に、武犬は言葉を飲み込んだ。
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