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「うっ……けほっ、ゴホッ!」
何とか、マオは起き上がろうと芋虫の様に地面を這う。
「大丈夫でやすかい? パイクシスさん。」
「……おう。いや、わりいな。助かったわ武犬。油断しちまったぃ。」
苦笑混じりに頭をかき、パイクシスは恥ずかしそうな感じで立ち上がる。
「……こいつが、件の十二聖護士……じゃあ、なさそうでやんすね。」
「あー、何か知らねーが喧嘩吹っ掛けて来た魔族だ。」
やれやれとパイクシスは立ち上がる。
マオも荒い息を吐きながら立ち上がろうとする。
「おいコラッ! 動くんじゃねぇよ!」
武犬の怒声に、マオは僅かにたじろぐ。
「……? 傷が塞がってやがる……。」
まさかこいつが魔王か? と武犬はパイクシスの隣に立ち、見上げる。
「オウよ。案外、いい拾いもんが――――!?」
パイクシスが、一歩前に踏み出そうとした瞬間――――目の前にばかでかいカットラスが突き刺さる。
「こりゃ、ホエールの旦那の……!?」
遠くからやって来る一人の女性の放つ威圧感に、武犬は言葉を飲み込んだ。
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