間章の一

15/20
前へ
/70ページ
次へ
「さて、後はピスケラさんにお任せしちゃって、あたし達は帰りましょう! マオさん!」  魔王の言葉に、まぁ、仕方ないなとマオは立ち上がる。  帰ろうとふらふらと歩き、思い出したように踵を返して、とりあえず気絶しているパイクシスの顔を踏んづけるマオ。 「あやや……。」  やや呆れた様子の声をよそに、さて帰るかと、マオは満足気に背を向けて、少し歩いた時。 「あぁ―――――!!!」  女の子の高い声が響いて、マオは肩をビクリと震わせて、尻尾をピン! と立てながら振り返る。 「ちょっ……ちょっ! なにやられてるのよ皆ー! 計画はどうなっちゃったのよー!?」  どうしてこうなっちゃうんだー! と騒ぐ少女をマオは見る。  桃色の髪は、肩までは届くくらい。あどけない顔をみながら、自分よりは二、三歳くらいは年上だろうか。やたら小さい自分よりかは流石に大きいが、小柄だ。  手は、鳥の鉤爪っぽくなっていて、腕からは鳥の羽毛がはえている。  マオと同じく、白いワンピースっぽいのを着た少女は、何でだと喚いた後、マオを見る。そして。 「わっ……わー! ラブリー!なぁんてラブリー!ちょーラブリー!! ちょ、ちょっと! すっごい可愛い子がいるんだけど!」  パイクシスらが死んではいないと判断した彼女は、マオの姿に大層な感想を叫んで、マオは再びびっくりしている。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加