間章の一

17/20
前へ
/70ページ
次へ
「マズイですよマオさん、この方はそっちの世界から来た気がしますよ。  捕まったら、大変な事になりそうです。」  薄い本になっちゃいますよと魔王はぼやく。  そっちの世界ってなんだとマオは思うが、まぁとりあえず操鳥に視線を向ける。  あっちはやる気満々である。 「むしろ、やる気マンマンマンですね。」  マオは自分の状況を思案する。ダメージを受けすぎて、再生力が落ちて来ている。何か食べたいところだが、ここに来る途中でオヤツは食べ尽くしてしまった。  マオは周囲に気を配り、意を決する。  火がその手に籠り、それは赤い槍の形を成す。  先手必勝とばかりに、操鳥に飛びかかるマオ。 「……~ら~らら~ららら~♪」  操鳥が歌い、羽根が周囲に散る。  それが、さっきピスケラがぶん投げた事により、近くに落ちていた巨大なカットラスと呼ばれる剣に触れた。  その瞬間、カットラスは物凄い速度でマオに向かい、その面が側面から直撃。 「――――ッッ!!?」  あまりの衝撃に吹き飛び、近くの木造の建物の窓を突き破って行った。 「あ……やっば、加減ミスっちゃった。」  操鳥は、やっちゃった~、と呟きながらも、とりあえず手当てしてあげないとと歩き出す操鳥。  死んでないよね? と小さな不安を覚えている。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加