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「……始まったみたいさね。」
海の近くの展望台から、副船長であるハイドラスはヒュドラ船長と十二聖護士の様子を眺めていた。
背中に背負った長銃に弾丸を込めて、葉巻をくわえて煙りを吐く。やや色素が薄い瞳がしばし揺らめく紫煙を眺めた。
大きく吸って、ふー、と吐いて……葉巻は彼女の足下に落ちた。義足で火を消して、様子を伺う。ヒュドラ船長が殴られていた。
わざとさね。ハイドラスは溜め息を吐く。まったく、十二聖護士を相手に何をやってんだか。
ま、いいやと暫く静観する事にした。変に殺気を出せば、この距離からでも気付かれかねない。
幸いにも、十二聖護士はウチの船長より頭が悪そうではあるが、油断はしない。
それは命取りになるからだ。
ハイドラスは、再び葉巻を口にくわえた。
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