間章の二

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 ピスケラが一気に駆け出し、ヒュドラの眼前まで来る。 「でりゃっ!」  掛け声と共に、右ストレートがヒュドラの左頬に突き刺さる。  よろめいたヒュドラに、左フック、ボディーブローと放ち、最後に右回し蹴り……が、それをヒュドラは腰を落とした姿勢で左腕で防ぐ。  そこから放たれたヒュドラの掌がピスケラの顔面に直撃。  激痛にピスケラは大きくよろめき、ふらふらと数歩ほど後退る。顔面を押さえながら頭を垂れた姿勢。血が、パタパタと地面に落ちる。  追撃を、と近付き肘鉄を後頭部に放とうとした瞬間……ピスケラはいきなり身を起こし、下から突き上げる形で掌低を勢い良くヒュドラの顎に叩き込む。  天を仰ぎながら大きく仰け反るヒュドラに、ピスケラは水刃を放つが、ヒュドラはそれを軽く手で払った。  チッ、とピスケラは舌を打つ。あまり魔法が得意で無いピスケラの水刃は、ダイヤモンドすらも切断出来るのだが……ちょっと魔力を込めるだけで、水刃を包む魔力がバランスを崩し、効果を失ってしまうのである。
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