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「なぁ、アンタ……オレ達の仲間になんねーか?」
いたずらっ子の様な笑みでそんな事を言い出すヒュドラに対し、ピスケラは『アアン?』とヤンキー風に返す。
「だからよ、オレ達と来ねぇか? へへ、アンタの事気に入っちまったよ。」
「……。」
ピスケラは……しばしヒュドラの得意気な顔を睨み上げた後、ゆっくりと立ち上がる。
「悪党の手先になれだって? ハンッ、冗談にもなってないねぇ。」
「ハハッ、手厳しいなオイ?」
笑うヒュドラに対し、ピスケラは駆け出す。
ヒュドラの放った右フックを僅かに体を沈ませ避けて、肘をヒュドラの脇腹に直撃させた。
が、直後に膝蹴りを腹にくらってよろける。
「ま、悪党ってのは否定しねーぜ? こうやって、町ひとつ占拠したりしてるし、略奪だってしてるしな?」
愉快そうにヒュドラは笑って、ピスケラの顔を覗く。
「だがよ、自由だぜ? とんでもなくな。」
この広い海、どこに行ってもいいんだからよ。
そんなヒュドラに対し、ピスケラは鼻で笑った。
「……そりゃあ『自由』じゃなくて、『身勝手』ってやつさね。」
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