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「……やれやれ、手厳しいな。つーか、似た様なもんだろ?」
「……やかましいよ。」
ふぅ、とピスケラは静かにヒュドラを睨み付けた。
「ん?」
そこでヒュドラは気付く。周囲に、霧が発生していた。
更にその霧は、だんだんと濃さを増して行く。
「……アンタの仕業かい?」
息苦しさすら感じる濃霧のなか、ヒュドラはピスケラに問い掛ける。ピスケラは、ちょっと笑っただけだった。
途端、ピスケラの姿が上空に向かう。
「……おお?」
ピスケラが、まるで泳いでいるのが一瞬見えたが、濃霧のせいですぐに見えなくなる。
「……この濃霧の中を。空を泳いでるってのか?」
いや、この濃霧はいわば『海』なのかもしんねーなとヒュドラは思う。魔法には詳しくないので良くは解らないが、恐らくこの『濃霧』を自身にとっての『海』とでも見立てさせているのだろう。
これがピスケラ・アルレーシャの奥の手のひとつ。『マリン・アサシン』という魔法である。
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