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目をまんまるに見開いて、フラムは振り返った。
「あ、え、スヴニー……琉生?」
「スヴニールって呼んでよ」
へらり、と笑った。眠たげなフラムの手を追い越しざまに拾い上げて、握る。
「少し話そうよ」
「え、え、ちょっと、スヴニール!」
「あはは」
笑って、笑って、誤魔化す。自棄になったみたい。なんてね、なんてね。これまでにないくらいに冷静になってる自分を見付ける。
―――ちりりん―――
可愛らしいベルの音とフラムと一緒に外に出る。そろそろあのハーブが採れ頃で、あぁあちらの草抜きをしなくては、
くだらない。
「えぇと、ね、フラム」
すとん、とわたしは郵便受けの隣に座った。その横にフラム。見上げてくるフラム、は、初めてだ。少し新鮮。
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