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ざくざくと、自分の足音。木々の枝が揺れる音。虫の羽音。
街灯もなく、真っ暗の中、月明かりを頼りに足を進める。
ふと、視界の端に光が引っ掛かった。
(…………?)
灯りに吸い寄せられる虫のように、そちらへと向かう。暖かい印象の、橙色の光だ。
(家だ……)
西洋風の小さな家があった。暗くてよく解らないが、白い漆喰の壁、赤い屋根、茶色の観音開きの扉。真っ赤な郵便受けもある。こんなところに郵便が届くのだろうか。小さな庭まである。花と、薬草らしきものが植えてある。眼鏡をかけ、ベストとズボンを着た兎の石像がある。
その兎が持っているランプから、橙色の光は漏れていた。橙色によって複雑な陰影が、兎につく。目に、真っ青な石が埋められている。
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