30人が本棚に入れています
本棚に追加
/428ページ
なんてね。ただの現実逃避。
「わたし、……旅に出るよ」
「……旅に」
「うん」
すっとフラムから目を逸らして、俯く。明日には、出来れば今日中には、出るよ、と一息で囁いた。
太陽光は暖かい。
「……そっか。ん、解った」
「……あっさり言うね」
「解ってたから」
短く、言い切られた。
「解ってたから。こうなるの。思い立ったが吉日だもんな」
「……ん」
眦に滲んだ涙を適当に擦る。少し、痛かった。
「……あ、あと、もう一個話。フラム」
「なに」
「ヴィオ……マスターたちの目のこと」
「目?」
お腹をまた、一つ撫でる。
「思い出したよ。……わたし、マスターの目を食べたんだ」
「はいっ!?目!?」
最初のコメントを投稿しよう!