ブックマスター 2

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青年は微笑む。指でそっとノートを撫でている。そのノートと、車の色が酷似していることに気付いた。 「さて、僕が語ることは以上です。紅茶をもう一杯?」 軽く掲げられたコップ。いらない、と答えるのが精一杯だった。 「おじいさん、大丈夫?顔色悪いですよ」 スヴニールがそう気遣う。 「いいや、大丈夫だ。……そろそろ帰るよ」 「そうですか」 青年は綺麗に微笑む。何故か、とても恐ろしい。 ぎくしゃくとした動きで立ち上がる。 「あ、でもまだ夜も深いですからね……スヴニール、フラム、麓まで御送りしなさい」 「はぁい!」 「はーい」 スヴニールは元気よく、フラムは面倒くさそうに返事をする。青年は微笑んだままだ。 扉を開けて、ふと振り返ると青年は、コップを片付けながら片手をあげて、 「あなたと良き物語が出逢えますよう」 微笑んだ。
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