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「おじいさん、大丈夫ですか!?」
眠そうな顔だったが、ぱっちりとした灰色の瞳を見開いてこちらに駆けてくる。
ふわっとした赤茶の長髪が揺れる。
「あの、おじいさん、どうしたんですか?」
「転けてしまってな……手を、貸してもらえるか?」
「は、はい」
小さな手を借りる。しかし、いかんせん非力である。
「あ、あのちょっと待っててください。マスターを読んで来ます」
幼女は走って家の中に入っていく。中から声が少し漏れてくる。
「マスター、マスター!起きてください!!」
こんな夜更けに近所迷惑だろう、と考えてここが山中だと気付いた。
「マスター、速くしてください」
ぼそぼそとした声が聞こえる。こちらはあまり聞き取れない。
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