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扉から出て来たのは、二十歳くらいの青年だった。屈むようにして扉を潜る。身長がとても大きい。が、その年の男にしては痩せている。 その服装はこの時間帯なのに、ワイシャツに、ベスト、ズボン。少しよれっとしている。そして、大きなシルクハットを被っていた。お陰で顔があまり見えない。明るい金色の髪が、かいま見えた。 「あれ……どうしたんですか」 ぼんやりとした声を、青年は出す。しゃきっとしろ、と叱りたいが、今はそんなことを言ってる暇はない。 「腰が痛くて動けん」 「あ、そうですか」 いかにも慣れた様子でこちらへやって来る。どうぞ、と手を貸してきた。 「すまん」 「いいえ。……フラム、なにやってるんだ」 青年はなにを思ったか、兎の石像を叩いた。驚いたことに、兎のランプがちかちかと瞬いた。 「まったく……悪戯もほどほどにしろよ……あ、おじいさん、失礼しました。少し休んでいってください」 「すまない」
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