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「へぇ。いい名前だね。何歳?」
「十三歳です。中一」
穏やかにブックマスターは微笑む。人差し指を唇に当てた。小首を傾げる。
「そっか……彼女とは、友達?」
「さぁ?友達でありたいです……けど。どちらかと言えば保護者というか」
「ほほう……少し待ってて」
ブックマスターは瞳をきらりと輝かせると、立ち上がってどこかに行った。すぐに戻ってきた。その手には、一冊の小説。
「本を聞くのは嫌いかな?」
「面白ければなんでも」
小さく顎を上げる。ひたり、と彼の瞳を見つめる。
ブックマスターはにこっと笑った。
「そうかい。それじゃあ聞いて。これは過去の物語。本当の物語」
唄うようなイントネーションでブックマスターは語り始める。
古びた小説のページが捲られた。
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