お友達

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その時感じた感情は、決して激しいものでは無かったです。静かに、静かに気持ちを心の底に落としました。そもそも私は、情が熱い質ではありませんでしたので、案外それは簡単でした。 聞いたその瞬間は、どのような表情をしていたか、解りません。笑顔は作れていたとは、思います。 Rは、とてもいい人です。性格は明朗で、頭も学校で一番良かったです。運動神経は、人並みでしたが、小柄で可愛らしい女の子でした。 私は絶対に、この感情を出すことなく、この感情をお墓まで持っていくことにしました。きっとこの感情は、若さ故の刹那的な感情なのだから、と。そう思えば、お墓まで持っていくなんて簡単なことでしょう。私は妙に達観する悪癖があるのです。みんなは、大人びている、と言いますが。 ただ単に冷めているだけなのです。
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