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『あれ? 秋継は知らなかったかな? 私たち電子精霊は魔力を持ってるよ』
アーデルの言葉に秋継は唖然とする。
この世界の人間は個人で魔力を精製出来ない。
魔術を構築するのに必要とされる、エーテルラインと呼ばれるものが人体に存在するのは確認されているが、それをコントロールする術が開発されていないのだ。
故に、この世界の電脳魔術師達は、電脳空間に作られたマジックサーキットネットワークにスペルコードを走らせて、魔術に必要な魔力をそこで充電して呪文を作りあげている。
「アーデルは魔力を持っている? と言う事はサイバーワンダーランドには魔力が存在する?」
秋継の疑問はそこに集約した。
その仮定が正しければ、MCNとはこの世界に存在しない魔力を、サイバーワンダーランドから得る為のシステムと言えるだろう。
「スペルコードを走らせるマジックサーキットネットワークは、魔力に満ちています。確かにサイバーワンダーランドから魔力を相転移させて供給しているならば、魔力がある理由は解明出来ます」
アルファの推測に、秋継は苦笑いを浮かべた。
考える事は同じらしい。
幾度となく水面下でシステムEDENにアプローチしても、得られないような情報を、まさか相棒にしていたアーデルが持っているとは夢にも思わなかったのである。
「なんでこの事を、教えてくれなかったんだアーデル?」
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