エピローグ

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「えーと? 何でこうなった?」  魔導学園アガルタ内に多数ある寄宿舎の一室。  そこは秋継が高等学部に移る機会に、移り住んだ部屋だった。  自室のパソコンを我が物顔でリンク操作しているアルファを、秋継は憮然とした顔で眺める。  騒ぎを回避するために、二人は学園から落ち着ける場所に移動をする事に決めた。  だが、適当な移動先の候補が浮かばず、議論した結果、一番安全そうな場所は秋継の寄宿舎と言うオチになったのだ。  地上からコードエイジの才能を買われて移住して以来、漸く手に入れた自分だけの城である。  中等部時代は母の親友である悠玄家にステイして暮らしていたが、自由度はあまり高く無く、高等部になる機会に漸く気兼ねしないマイホームを今月手に入れたばかりであった。 「よく分からんが、お前の追っては巻いたわけだろうが? 勝手にどことなりに行っちまえよ。よく考えるとこの件がばれたら、俺は停学どころじゃすまないだろうからな……」  頭を抱えてから秋継はベットに寝転んだ。 「Nein! 大丈夫です。現在、あらゆる情報端末に今回の件を隠蔽するウィルスをバラ巻き中です。秋継のデータが流出する可能性は5パーセント未満です」 「隠蔽工作かよ……。流石、ヴァルハラの送り込んだ最新鋭機だよ」 「Ja! アルファは優秀なので情報操作はちょちょいのチョイです」 「……皮肉が通じねぇ」  秋継はぐったりとベットに顔を埋めた。  よくよく考えると一国家と遜色ない魔科学都市同士の、かなり危険なやりとりに足を踏み込んでしまった可能性が高い。    このまま、何事も無く日常を暮らせるかが、正直目先の大問題と言えよう。
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