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光が収まったか確認するためにゆっくりと目を開ける
そこはさっきまでいた泉と違って真っ青な空間に変わっていた
「お主が、勇者じゃな?」
「いえ、まだ勇者じゃありません」
地面につくかつかないかの所まで伸びた白い髭に禿げ頭
青のギリシャ神話とかに出ている服を着ているお爺さんにまだの部分を強調して言った
「?どういうことじゃ?」
「僕はまだ、何も力を持っていません。きっと封印を解かれたら物凄い力があるんだと思いますが僕はその力に溺れることなくその力を使いこなして見せます。そして周りもよく見て皆を守るだけじゃなく力を合わせてどんな困難にも立ち向かって見せます。それで漸く本当の勇者になれたと思うんです。そうしないと、親友に顔向けできませんから」
僕の言葉を最後まで聞いたお爺さんは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてた
「ふぉっふぉっふぉ、お主はまごうことなき勇者じゃよ。その綺麗な心がいつまでも濁ることがないことを祈っておる。それでは…封印解除じゃ」
お爺さんが言い終わった瞬間に僕のなかから溢れだす何かを確かに感じた
これが魔力か
「それじゃ、もう行きなさい」
僕は無言で頷いた
一度瞬きをした瞬間に景色は真っ青な空間から泉の中に変わっていた
冷静に僕は平泳ぎで皆の待つ場所へと向かう
泉から上がると麗ちゃんと視線を交わし
「次、行ってきます」
麗ちゃんは握り拳を作り力強く言った
少しでも麗ちゃんの後押しが出来ればと思って僕は軽く背中を押す
「頑張って!」
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