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三人のなかでこのクソ暑いなか、頭からスッポりフードを被ったリーダっぽいヤツがまず佐藤の方を向いた。
「オレたちクスリ、売ってる。ホしいなら、まず金」
ポケットに手を突っ込んだまま、オレたちを睨みつける。
「はぁぁぁぁ? バカにしてんのか、お前ら」
その一言に声を荒げたのは佐藤だ。
「なめてんのか!? まず、ブツ見せろよ。つーか、グラムいくらなんだよ。新しい新しいって言ってるけど、一体どんな効果あんだよ。そのあたりの説明ナシかよ? あぁ? ンな詐欺みたいなものに金出せるわけねぇだろ!? あーもういいわ、この話ナシっ!! じゃーな」
立て板に水とはこのことか……。
一気にまくしたてたかと思うと、佐藤は三人組に背中を向け、オレに顎をしゃくってみせた。
帰るぞ、の合図のようだ。
本格的に考えていることが分からない。情緒不安定なのか?
小首をかしげるが、なすこともなくオレはただ佐藤の後ろについて歩き出した。
とたん
「ま、待テよ」
リーダーが慌てて声をかけてくる。
「大丈夫、ちゃんとセツメイする!」
どうも300万に目が眩んでいるようで、急に下手になる相手につい意地の悪い笑みが浮かんでしまう。
しかし、佐藤は一旦足を止めたはしたが、小さく首を振ってそのまま歩き出した。
すると、さらに焦ったのは相手の方だった。
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