クスリ、ダメ、ゼッタイ!!!

10/17
前へ
/29ページ
次へ
三人のなかでこのクソ暑いなか、頭からスッポりフードを被ったリーダっぽいヤツがまず佐藤の方を向いた。 「オレたちクスリ、売ってる。ホしいなら、まず金」 ポケットに手を突っ込んだまま、オレたちを睨みつける。 「はぁぁぁぁ? バカにしてんのか、お前ら」 その一言に声を荒げたのは佐藤だ。 「なめてんのか!? まず、ブツ見せろよ。つーか、グラムいくらなんだよ。新しい新しいって言ってるけど、一体どんな効果あんだよ。そのあたりの説明ナシかよ? あぁ? ンな詐欺みたいなものに金出せるわけねぇだろ!? あーもういいわ、この話ナシっ!! じゃーな」 立て板に水とはこのことか……。 一気にまくしたてたかと思うと、佐藤は三人組に背中を向け、オレに顎をしゃくってみせた。 帰るぞ、の合図のようだ。 本格的に考えていることが分からない。情緒不安定なのか?  小首をかしげるが、なすこともなくオレはただ佐藤の後ろについて歩き出した。 とたん 「ま、待テよ」 リーダーが慌てて声をかけてくる。 「大丈夫、ちゃんとセツメイする!」 どうも300万に目が眩んでいるようで、急に下手になる相手につい意地の悪い笑みが浮かんでしまう。 しかし、佐藤は一旦足を止めたはしたが、小さく首を振ってそのまま歩き出した。 すると、さらに焦ったのは相手の方だった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加