黒スーツと炎天下

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「えっ? なんで? ヤダよ。ダサいもん」 え? 何? オレ、ダサいの?? 佐藤の言葉に一瞬動揺するが、とりあえずキレて誤摩化す。 「それ、オレに対する嫌味かよ!?」 胸ぐらを掴んで凶悪といわれる顔をさらに凶悪に歪め、身長差を利用して威嚇すべく、上から佐藤を見下ろした。 しかし、相手は軽く肩をすくめるとオレの眉間の皺に人差し指を突き刺す。 「嫌味じゃないけどさぁ。お前、見るからに暑苦しいんだって。髪は真っ黒だし、顔はいかついし、眉間に皺寄ってるし、タッパあるし……。言うならば存在がむさ苦しく暑い……」 まぁ、髪の毛が短いのがまだ救いだよねーーー、と人懐っこい笑みを浮かべて見せる。 「……嫌味じゃないって、お前、ソレまるっきり嫌味以外の何者でもねぇよ……」 真正面からのダメ出しに怒るのもバカらしくなって掴んでいた手を放すと、佐藤は額に置いていた指でオレの前髪をツンツンと引っ張る。 「いやいや、でもほら、チンピラヤクザにはピッタリのナリだと思うし、オレはそのままのお前が好きだ」 まるで、それが褒め言葉のようにキラキラ顔を輝かせて大真面目に言ってくる相方に力が抜ける。 もう、ホント、こいつ意味がわからん……。
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